靴のクレームの実例と品質性能値 ウェッジヒール関連のクレーム その3 東京都皮革技術センター 台東支所 中島 健

●ウェッジヒール関連のクレーム その3

2)後部のしわ
 また、ウェッジヒールの軽量化と共にクッション性を向上させようとして、失敗した事例としてヒール後部に発生したしわがある(写真5、6)。ヒールに被せた革が浮き上がった現象でヒール本体が縮んでしまったことや伸び縮みで被せて接着したものが剥離した結果である。
 柔らかいウェッジ系ヒール場合、着地(ヒールコンタクト)で安定した体重支持が出来ずに足を負傷した事例もある(写真5)。

写真5 柔らかすぎるウェッジヒール 写真6 ウェッジヒールの皺

 したがって衝撃吸収と安定した支持は相反するところがあり設計で悩ますところである。
 写真7 は、柔らかすぎて不安定であるとクレーム付いたサンダルを50kg の力で潰したところ、1cm 程度の変形がおきた(写真7)である。クッション材料を厚くすればするほど大きな衝撃力を吸収することが出来る。しかし、歩行時に起きる衝撃はジョギングや疾走と比べて微々たることなので吸収材の使い方も加減しなければならない。ジョギングシューズ程度の衝撃吸収力と単純比較すること危険であることをこの事例で理解して欲しい。

写真7 50kgfで押し潰す

 タウンシューズでは1 日中履き続けることの多い靴種なので体の支持する機能、言い換えると安定性についても十分に考えなくてはならない。そのためには評価の方法の手立てを探って、履き心地の要素として確立する必要がある。

中島 健(なかじま けん)

・1939 年 東京都生まれ
・1962 年 スタンダード靴(株)入社
・1972 年 東京都立産業労働会館 技術指導研究員
・2000 年 東京都立皮革技術センター台東支所
      専門技術指導員
          現在に至る。

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