靴のクレームの実例と品質性能値 シャンクの折れ その3 東京都皮革技術センター 台東支所 中島 健

●シャンクの折れ その3

シャンクの形状と材料
カウンターを強固に保持するために堅くて折れない材質で、且つ釘で打ち付けることの出来る材質でなければならない。また、ヒールの高さに応じて踏まず部分(ウエスト部)の湾曲の程度を変えることから、個々にプレスで形付けする必要があります。これらの理由から厚みが3mm 以上のファイバボードを使用
されています。これだけでは踏まず部を支持して形状を保つことが出来ないので硬い鋼のシャンクが補強として使われています。ヒールが低ければシャンクを使用しないでも済みますが、2cm 程度の紳士靴でも履き心地に大きな効果を発揮していることで重要性を実感できます。

 シート部にプラスチックを使用する靴もあります。この場合にはシャンクが使われることが少なく、それだけの強度が保たれていると考えているのでしょう。しかし、破損した事例があることから靴の形状によって十分に検討する必要があります。
 これらを解き明かすには、シャンクの形状と性能を知っておく必要があります。その説明に先立ち用語について確認したい。


 図4 は一般的な形状である。平らな鋼板(焼入り)の中央に補強用の溝(フルート)がつけられます。この溝をつけることによって、倍近く強度を増すことが出来ます。
 小さな穴はシャンクと中底シートボードを固定する鳩目穴です。
 右端の切り込まれた部分はヒールを止めネジが通るスペースです。最近のヒールのように高い形状では強固に保持させ無ければ成らないので写真2のように長穴にしているのも見受けられます。こちら側をヒール側と呼び、反対の端を先端側といいます。

 鋼板の厚みは1 から1.1 ミリ程度で、幅は12 ミリ程度が多く使用されていますが、ヒールの高さに応じて強度を設計します。
 薄く軽い材料が求められることから、最近ではプラスチックやカーボンファイバーなどの材料が使われていることがありますが、一般的には鉄製が使われます。
 シャンクには強靭で弾力があって、加工が容易なことが条件です。前記の溝付けや穴あけ加工が容易に出来ることです。
 若干、湾曲しているのは、靴型の踏まず部のカーブにあわせて型付け出来ることが条件です。

中島 健(なかじま けん)

・1939 年 東京都生まれ
・1962 年 スタンダード靴(株)入社
・1972 年 東京都立産業労働会館 技術指導研究員
・2000 年 東京都立皮革技術センター台東支所
      専門技術指導員
          現在に至る。

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