今日の話は靴や整形外科の治療を越えた話をしたいと思います。私はトレーナーたちと、メディカルフィットネスクラブを経営しています。目的は日本人の平均寿命の85 歳まで走れる体を作って行きたい、という事です。日本人はどうやって寝たきりになって行くのか、これを突き詰めていくと、寝たきりにならない方法がわかります。長生きするポイントはいくつかあると思います。その中の一部を今日は紹介させていただきます。脊椎、下肢の関節の変形をいかに予防し、長持ちさせるかという話です。寝たきりの話は、SF の皆さんに関係ないように見えると思いますが、最後にはその流れが伝わると思いますので、辛抱して聞いていて下さい。
一生、元気で寿命を全うする事ができるか、答えはほぼノーです。平成7 年度の統計では、日本人の寝たきり期間は8.5 ヶ月と出ています。(図1)日本人の平均寿命は女性で85 歳、男性では78 歳とされています。これは生きているという事だけですね。知りたいのはどれだけ元気で長生きしているかという事ですが、女性では8 年、男性では6 年の要支援、要介護を要しています。健康寿命の統計を取っておられる先生は沢山いらっしゃいますが、日本人女性は77 歳を超えるとなんらかのトラブルが出てきて日常生活を一人では送れない。
具体的には、買い物に行って帰ってくる、これができない。2 階に上がって降りてくる、これができない。バスに乗ってどこかに行く事ができない。そういう事が起こってくるのが77 歳。そこから8 年間1 人では生活できないので、いろいろな人の手助けをいただいて死ぬというのが日本人の一般的な亡くなり方です。それを、自分だけは85 歳までしっかり元気で過ごせるというのは、かなわぬ夢だと思って下さい。
その現実を頭の中に叩き入れていただいて、寝たきりにならないようにするにはどうしたらいいのでしょうか。3 年以上寝たきりになっている方の原因の45%は脳卒中です。脳卒中とは脳出血、脳梗塞、クモ膜下出血の3 つを合わせて総称したものです。さらに脳卒中の原因は、メタボリックシンドローム、つまり、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満です。寝たきりの原因の第2 位は17%を占める、骨関節疾患です。変形性膝関節症、変形性腰椎症などが原因で歩けなくなる人がたくさんいます。
それと重要なのが骨粗鬆症です。骨粗鬆症による骨折で歩けなくなる方が後を絶ちません。骨粗鬆症による圧迫骨折、それによって痛みがひどく歩けなくなる。こういう患者さんを減らすため、整形外科とSF がどう連携すればいいか考えてみましょう。