お医者さんはシューフィッター 整形外科医との連携に必要なシューフィッターの知識 橋間 誠

●有酸素運動を知ろう

寝たきりの原因で最も多い脳卒中を防ぐ運動の代表が、ウォーキングです。心拍数で言うと最大酸素摂取量は50 〜60%の強度、心疾患でない60 代〜70 代の方でいうと心拍数に換算して120 〜125 位になります。この運動強度で1 週間に120 分以上の有酸素運動をしますと脳卒中が防げるという医学的評価(エ
ビデンス)があります。公園を散歩がてら心拍数も計らずに歩いている人が脳卒中を防げる確率はどれ位あるかというと、家で寝ている人よりましですが、結局その人は脳卒中を起こします。

注意すべきことはO 脚や脊椎の変形がある人がウォーキングをすると、どんどん変形が悪化していくことです。(図2)整形外科にはウォーキングをして膝関節痛、腰痛を起こして来院する人が多くいます。そういう方のレントゲンを診るとひどい状態になっていますが、ウォーキングしなければもうちょっと長い間歩く生活が出来ただろう、と思われる方がいっぱいいるんです。

O脚のままウォーキングだけしていると変形が悪化する可能性がある

O 脚や脊椎の変形がある方は、ウォーキングをいきなりするのでなく、プールで歩くか、エアロバイクという機械で有酸素運動をしていただくといいでしょう。先ほど述べたウォーキングと同様に、少し息切れする程度で1 週間に120 分以上プールで歩くか、エアロバイクをこぐと脳卒中が防げるのです。公園を歩く方々に、意味がないと否定してはいけないでしょうが、こういう知識は知人であれば教えてあげて下さい。

O 脚の方は、あとで述べるインナーマッスルを鍛える運動をトレーナーに指導してもらい、正しい歩行の訓練が終了してから徐々にウォーキングをしましょう。その際、整形外科医に診察を受け、小指側を高く傾斜をつけた足底板を作成してもらい、(図3)さらにその足底板に合うウォーキングシューズをSFに選んでもらうことが重要です。

橋間 誠(はしま まこと)

医療法人橋間診療所理事長・院長(http://www.move-like-flowing.com/
メディカルフィットネススタジオムーヴ・ライク・フローイング施設長
日本整形外科学会認定医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本医師会健康スポーツ医
ネバダ州立大学公認 ピラティスインストラクター
・1966 年 生まれ
・1991 年 近畿大学医学部卒業
・1997 年 医学博士号取得
・2007 年 医療法人橋間診療所理事長・院長に就任
・2010 年 FHA シューフィッタープライマリーコース認定取得

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